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検証:過去の長期投資に複利効果はあったのか。

投資信託のブログ|ファンドの海では、株式のように価格変動があるものに長期投資したときに、その結果は本当に期待投資収益率(リターン)の複利が期待できるのだろうか? ということを、シミュレーションを用いて調査が行われています。「さらに追求:追求:投資信託の長期投資は複利なのか?」
今のところ(2008/12/2現在)、「5年保有したとき、そのリターンは平均すれば5年複利と同じ結果が期待できる。ただし、結果の半数以上は複利以下の結果である」と結果になっています。

本記事では、別のアプローチとして、過去のデータから株式投資の長期投資の複利効果を検証したいと思います。

検証に使用したデータは、ダウ・ジョーンズ工業株価平均(Dow Jones Industrial Average −DJIA)の1928年10月からの月次データです。単に、Yahoo Finannceからできるだけ期間の長そうなデータを拾ってきただけです。
Dow Jones Industrial Average

このデータから、ある月の値が1年目、2年目、…10年目と経過したときの変化量を騰落率(%)として求め、それらの騰落率から統計計算を行った結果が以下のとおりです。
  

1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
10年目
平均値
6.69
14.4
23.1
32.9
43.1
108
中央値
6.18
13.7
21.3
29.4
37.6
97.9
複利換算
6.69
13.8
21.4
29.6
38.2
96.2
標準偏差
20.3
28.7
36.7
45.3
51.5
93.8
最小値
-71.5
-83.7
-87.0
-83.8
-75.6
-64.7
最大値
129
124
197
268
295
350
複利換算は、1年目の平均値を期待リターンとして、複利計算を行った値です。

結果は、中央値がほぼ複利換算の結果と一致しています。むしろ、平均値は、複利換算よりも大きな値になっています。

騰落率のばらつき具合の度数分布図で示します。
度数分布図

年数を重ねるにしたがって、ふたこぶになっていくのは、気のせいでしょうか。ふたこぶになっているので、ピークがどちらに寄っていっているのかはわかりにくいですが、全体としては、右にシフトしているような気がします。

今回の結果から、少なくても1928年以降のある時点からDJIAのインデックスを保有した場合、そのリターンの中央値は複利の結果とほぼ一致していた。ただ、ばらつきがありますので、約半分は複利効果以上の結果が得られた、残りの約半分は複利効果に到達しなかったとも言えます。
長期投資はリスクが軽減されるとよく言われていますが、今回の結果は長期になるほど標準偏差が大きくなっています。10年保有に至っては、山の形状が失われつつあります。したがって、長期保有だけではリスクは軽減しない、むしろ増大します。
おそらく、長期積立をすれば、リスクは軽減されると思います。
長期投資 → リスク低減?
長期保有 → リスク増大
長期積立 → リスク低減

ただ、騰落率の最小値という意味では、あまり変わっていません。
-100%が限界(-100%で値は0になる)なので、下には振れようがないのかもしれません。長期保有によるリスク増大の要因は、複利効果の何倍もの結果が得られる可能性が出てくるからです。

本当は、日本(日経平均、TOPIX)に対しても検証した方が良いとは思うのですが、今回のような良い結果が得られそうにないのが目に見えているので、今のところはやらない予定です。というのは、DJIAのチャートのように、縦軸を対数にしたときに直線的に上がっていくから、複利効果があると確信できるのです。しかし、日本の場合は水平のようにしか感じられないので、チャートを見るかぎり複利効果を感じません。おそらく、長期のデータがないのも原因だと思います。

とりあえず、検証に使用したワークシートも公開します。
(ファイルをダウンロードしてから、拡張子をxlsに変えて下さい)

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テーマ : 資産運用
ジャンル : 株式・投資・マネー

tag : 資産運用 複利効果 長期保有 騰落率

コメント

非公開コメント

No title

やすともさん、検証すばらしいです。僕もやろうとしていたことが完全にフォローされていました。

現実のデータでは、中央値が複利に一致していて、平均はそれを上回っているという特徴が、対数正規分布の特徴(中央値より平均のほうがよい)に似ている点と、シミュレーション結果よりもよい、という2つの面で大変興味深いですね。それから、長期ではリスクが増大するというのも、実際のデータで検証されると説得力があります。

これを拝見する限り、僕のシミュレーションもそれほど間違ってなさそうだなと勝手に想像しています。

No title

イーノさん、コメントありがとうございます。

私もこんなに綺麗に複利の効果が確認できてビックリしています。また、ここ何日かモヤモヤしていたのがスッキリしました。

今後もこの結果を信じて投資を実行していくまでです。

計算方法の問題点

やすともさん、初めまして。
イーノさんのブログから来ました。

エクセルのシートを拝見しました。
ちょっと気になった事が。
・例えば10年のリターンを見たときに、1928年10月〜1938年10月のリターンと、1928年11月〜1938年11月のリターンはあまり変わりませんよね。10年の中のたった二月(1928年10月と1938年10月)だけしか違わないのですから。
このような、相関のきわめて大きなデータを使ってリスクの指標としての分散、標準偏差を推定すると、リスクを過小評価することになります。
統計学の教科書の「推定」の項目を見てください。

・また、この方法では1929年10月の下落は、1928年10月〜1938年10月のリターンから1929年10月〜1939年10月のリターンまでの13個のリターンにしか反映されない一方、期間の中ごろのデータは119個のリターンに反映されます。
例えば1940年1月の変動は、1930年2月〜1940年2月のリターンから1940年1月〜1950年1月のリターンまでに反映されます。
ということは、10年のリターンの平均=AVERAGE(H122:H964)とか中央値の計算において、1928〜2008という期間の両端10年のデータの影響は、端に近づくほど小さくなります。ものの見事のこの両端は下がっていますから、
> むしろ、平均値は、複利換算よりも大きな値になっています。
となるのです。
この点に関しては、リターンの計算式、平均の計算式を展開してみてください。

・この方法を突き詰めていくと、イーノさんのコメント欄に書いた山崎氏の記事
https://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/investment/yamazaki/in05_report_yamazaki_02_05.html
で引用されているように、80年間のリターンはバラツキが殆どなくなりますね。
1928年10月〜2008年10月のリターン、1928年11月〜2008年11月のリターン、1928年12月〜2008年12月のリターン、の3つしかないのですから。
でも今後80年間のリターンはバラツキがない、とは思わないでしょう。
このように、やすともさんがお使いの方法ですと、長期のリターンを計算するほどバラツキを実際より小さく見積もってしまいます。
ここを気をつけないと、長期投資のリスクを過小評価する、つまりご自身の実際の投資のリスクが想定よりも大きくなることになります。

No title

COLEさん、こんばんわ。

回答させていただきます。
まず、1番目ですが、確かに1ヶ月ずつ移動させてデータを作りより、完全に10年に区切ったデータの方がまったく相関がないデータかもしれません。今回は、投資することを前提にしていますので、ある人がある時点に投資したものが10年後いくらになっていたのかと考えてこのようなデータの取り方をしています。
次に、2番目ですが、途中の1ヶ月の変動はむしろ無視しても構わないんではないかと思うんですが。10年間直線で上がっていっても、波的な動きをしても、途中の1ヶ月の変動は最終的な騰落率の計算には影響されないと思いますが。なので、どの月の同じ影響になると思います。
最後、3番目ですが、今回の80年間だとほとんど3つしかデータ出ないのであれば、ばらつきも何もありませんね。私自身は、リスクがあること十分認識していますので、投資も基本的に恥ずかしいほどわずかな余裕資金で行っています。
プロフィール

Author:やすとも
サラリーマン投資家です。
ブログタイトルにバリューとありますが、個別株に投資するバリュー投資ではなく、安く買うことを基本に投資信託でグローバル投資を実践して行きたいと思います。

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